(3つのエッセンス)

かつて、私はこのHPで「ものぐさ不動産鑑定士合格指南」というページを公開していました。試験制度が大きく変わりましたので、そのページを閉めて、そのエッセンスのみをここに抽出することにしました。その後、投資銀行に移り、証券外務員試験・内部管理責任者試験等を合格する中で、これらエッセンスは多くの資格試験に応用可能で、単にページを閉めてしまうのはもったいないと思ったからです。

エッセンスとは次の3つです。特に道しるべのない「独学」を選択される方は、このエッセンスを大切にして頂きたいと思います。

<3つのエッセンス>

☆ その資格・試験科目の本質を知る。

☆ 沢山の合格体験記を読んで、自分に合った勉強方法を選択する。

☆ 最後まで諦めない。くじけそうなときこそチャンス。

シンプル過ぎますか?例えば、既に10年以上も学生に読みつがれている『面接の達人』でも、書いてあることは2つだけ、「自己紹介」と「志望動機」です。元・上場企業の人事部員で、4回の転職を経験した私も、この2つだけで乗り越えてきました。真理とは至ってシンプルで、ただ、それをしっかりと実践するか否かが、成否の分れ目なのです。


(資格・試験科目の本質を知る)

資格試験では、必ず本番で見たこともない問題に出くわします。また、どこかで見たことがあるのに、本番思い出せない、という事態にも遭遇します。他の受験生はきっとこれに答えられるのに、自分は勘でしか答えられなかった、もう駄目だ、という気持ちになりがちです。大丈夫です。本番では多かれ少なかれ、みんなある程度舞い上がっているものです。ですから、こういうわからない問題で、どれだけ「適切な勘」を働かせることができたかが、合否の分れ目になります。

どの資格にも、求められる能力があります。どの試験科目にも、中核となる論点があります。勉強を始める前に、ガイダンス本をしっかりと読み込み、それらをしっかりと掴むことです。地図もなしに、航海に出ては迷子になるだけですからね。そして、細かい論点を勉強しているときも、問題集を解いているときも、常に、求められている能力は何か、中核となる論点は何か、と問い続けることです。そうすることで、例えば、不動産鑑定士試験であれば、「不動産鑑定士頭」ができあがってきます。「国語頭」で数学の問題を解いても、「この助詞が違う」とか、とんでもないところが気になるだけで、正解に到達できるものではありません。

資格・試験科目の本質がわかると、出題者の出題意図が掴めるようになり、とんちんかんな回答をしなくなります。初めてみる問題も、「不動産鑑定士はこうあるべき」あるいは「この法律は何を守るための法律か」という中核論点から勘を働かせることで、回答を導くことができるようになるわけです。


(合格体験記から自分に合った勉強方法を選択する)

資格試験を目指すときに一番不安になるのが、本当に合格できるのかなぁ、ってことです。こんなHPを開いている私も同じです。でも、私は気が付きました、その不安を解消する方法。それは、すでに合格した人から合格する方法を聞いて、それを実践しちゃえばいいんです。不安になるのは、今の自分の勉強方法で合格できるのかどうか、受験するまで証明できないからです。だったら、証明済みの方法、すなわち、実際に誰かが実践して合格したことのある方法を聞いて、同じことをすればいいわけです。

もちろん、勉強方法には相性があります。試験勉強は、自分に合った方法を見つけられるかどうか、それに尽きます。そのためには、試験で何が問われるのか、その本質を知った上で、何人かの合格体験記を読んで、その中から、自分に合った勉強方法を選択するのが良いでしょう。いろんな勉強の仕方を知って、気に入った方法をつまみ食いして、自分用にアレンジすることです。つまみ食いのポイントは、「うん、この方法が楽しそう」って思えるかどうか。勉強は楽しいと、短時間でもよく身に付くものです。


(諦めない気持ち−くじけそうなときは、もう一歩で合格できるとき)

私がこれまでに受験した資格試験は、全て、模擬試験等では惨澹たる結果でした。仕事に遊びに忙しい私達が、合格するために十分な勉強時間を取れるわけがないのです。また、十分な勉強をして試験に合格するような非効率的なことをしていては、この変化の大きなビジネス社会を生き残れるものではありません。たとえ勉強不足でも合格する方法、それは決して諦めることなくチャレンジすることです。最後まで諦めない気持ちが資格試験合格のためには一番大切です。特に、今、勉強にくじけそうになっていらっしゃる方に、このHPを通して、チャレンジ精神を燃え上がらせるお手伝いをしたいのです。だって、せっかく興味を持ったチャンスを、大切な夢への一歩を、自分で諦めてしまうなんて、とてももったいないことだからです。みんな同じように勉強しています。だから、合否の分れ目は、くじけそうになったときに、もう一歩だけ踏ん張ることができるかどうかなのです。

私が不動産鑑定士2次試験を受けたときも、多くの人が途中で諦めて帰っていきました。その人達はもちろん不合格です。合格できるチャンスを自分で放棄したのですから。諦めない私達こそが合格にふさわしいのです。ビジネスにおける成功も、この諦めない、ほんの一歩の差だということは、皆さんお感じになっている通りなのです。


(独学か通学か)

独学で受験するか、通学で受験するか、これは永遠のテーマです。要は、自分に合った方を選択すればいいのですが、独学はどうしても情報不足で不安になります。また、「独学は毒学」などという受験予備校があったり、過去の合格者が「独学では無理」と言っていたりすると、さらに不安がかきたてられることになります。

私にとっては「通学は痛学」です。受験予備校に大枚を払って不合格したらそれこそ毒学です。私の当時の不動産鑑定士2次試験は、通学は学費30万円、勉強時間は1,000時間と言われていました。私は、上記「3つのエッセンス」をきっちりとこなすことで、独学で10万円程度の出費と500時間の勉強時間で済みました。不動産鑑定士3次試験も、「午後問を最低100問練習する」という通説に対し、私は「3つのエッセンス」を実践して31問の練習で合格しました。もちろん、制度が変わりましたので、今同じようにあてはまる話ではありません。しかし、当時も「予備校に行かないと合格しない」「1,000時間勉強しないと合格しない」というのが通説だったのです。志しの高い皆さんにも、そのような通説に惑わされるのではなく、自分で判断することを大切にして欲しいのです。

浮いたお金で、何回飲み会に行けるでしょうか。コミュニケーションは大切です。飲み会の話が出たついでに、禁欲を強いる予備校もありますが、これもいけません。例えば、見たいドラマがあるのに、どうしてそれを我慢して集中した勉強ができるでしょう。社会で求められるのは、コミュニケーション能力と効率的な独学能力です。何でも教わらないとできない、生活の楽しみを諦めなければ仕事に集中できないようでは、企業からみて魅力のある人材と呼べるでしょうか。

もっとも、全くの独学では「出題されない知識まで勉強してしまう」という難点があります。ですから、私は、上手に予備校を「利用」するという姿勢を取りました。予備校に通うと、

1.大金を払ったので、もったいなくて講義を休めない=強制的に勉強時間が取れる
2.出題される論点のみ勉強できる。
3.答案練習会にも参加すれば、論文を書く練習になり、出題可能性の高い論点を把握できる。

などのメリットがあります。私には30万円払うというデメリットの方が大きかったので、無料公開講座や古い教材の割引販売会、模試のみ利用しました。

尚、独学の皆さんに限らず、受験生同士の情報交換の場として、様々なHPがあります。いろいろと顔を出して、受験生仲間を増やすいいでしょう。お互いに励まし合える上、就職に際しての参考になる話しも聞けるでしょう。私も不動産鑑定士2次受験に当たり、受験生仲間のメル友がどれほど心の支えになったことか。是非遊びに行ってみて下さい。


(本番心得帳)

これは、不動産鑑定士2次試験向けに整理したものです。御自分が受験される試験に合わせてアレンジしてお使い下さい。

・受験票、青ペン、修正液、定規、シャープ、消しゴム、サンダル、タオル。

・試験開始前から、問題を透かして読んで、可能であれば、答案構成まで行う。

・設問を一字一句もらさず読む。

・設問の中に解答がある。

・設問から丹念に論点を抽出する。

・不明な問題は誤植もあり得るので、時間を無駄にせず、冷静に対処する。

・試験委員からの説明は、もう一つの設問であり、聞き漏らさない。

・定義をしっかり書く。

・特に会計学は、意義を問われたら定義・目的・長所・短所まで書く。

・行政法規の見直しは、正解として選らんだ選択肢の文章を見直していく。

・設問を見直し、題意に沿っているか、書き落としがないか、チェックする。

・最後の一分一秒までチェックする。

・これまで勉強してきたことの全てを答案用紙の上に表現する。

・全力を尽くす。あのときもっと頑張ればよかったのにと後悔しない。

・今まで支えてくれた人達に感謝し、その人達のためにも頑張る。

・必ず解答があり、自分はそれを知っているのだと確信する。

・合否を分けるのはたった1点。1点でも多く、しつこく粘って諦めない。

・もうダメだと思った、その一歩先に合格はある。

・人間の能力に限界は無い。


(諦めの悪い人になろう)

最後にこれも不動産鑑定士2次試験での私の勝因です。御自分が受験される試験に合わせてアレンジしてお使い下さい。

1.青ボールペンを使って、見やすい字を心掛けた。
黒ボールペンで書かれた答案の採点は、採点者にとって、非常に目が疲れる。それが数百枚続いたところへ青ボールペンの文字が現れると、とても見やすく、さらに丁寧な字で書かれてあれば、同じ内容の答案でも、黒ペンや字の汚いものに比べて、より論理的な文章のように読めるため、構成点を稼げた。


2.最後まで諦めなかった。
試験場入り口でLECが配っていた、直前ヤマ論点のチラシに従って、試験前日、鑑定理論についてはマル暗記して臨んだら、そのまま出た。また、試験当日、多くの受験生が途中で席を立っておられたが、知識・能力的に言って、その方達と私とで、差はない。むしろ、公開模試の結果を見る限り、私の方がレベルは低い。それでも、折角受験しているのだから、私は最後まで粘る意思で、わからない問題であろうと、わずかばかりの知識を総動員して、なんとか回答用紙を埋めた。それは、出題者の期待する「正解」とは違ったものではあったが、基本的な定義に誤りがなく、論理的に整合性があれば、やはり構成点を稼げたと思われる。別れ目は、諦めが良いか、諦めが悪いか。その結果、合格者370名中ギリギリであったとしても、合格ラインに到達できた。


皆さんも、最後まで諦めず、粘り抜いて下さい。ご来訪ありがとうございました。