(勉強はこれだけ)

宅建試験で問われるのは、過去問と近年の法改正点のみです。とすれば、自ずと受験対策は決まってきます。すなわち

(1)基本書を読み流し、全体の雰囲気を掴む。
(2)過去問を解き、知識の定着を図る。
(3)模擬試験を受験し、会場受験の雰囲気に慣れ、不得意問題を洗い出す。
(4)法改正点を中心に知識を整理する。

これだけで十分です。以下、それぞれについて少し詳しくご説明しておきます。


(1)基本書を読み流し、全体の雰囲気を掴む。

いきなり過去問を解き始めても、聞いたこともないことに答えられるはずもありません。逆に、面白くもない基本書を精読するのは地獄の苦しみ以外の何ものでもありません。でしたら、読み物としてサッと読み流すことにしましょう。
大きな書店に行けば、基本書として使えるものが何十冊もありますので、その中から自分にとって最も読み易いものを選ぶと良いでしょう。ちなみに『宅地建物取引の知識』が最もベーシックで、中野元さんの『これだけ宅建』シリーズも人気があります。但し、前者はベーシックなだけに、やはり教科書っぽくてつまらないですし、後者は「これだけ」といいながら、4分冊になってたりしますので、私は住宅新報社の『宅建予備校』を使いました。

※ 私が使った『宅建予備校』は、とってもお奨めだったのですが、残念ながら廃刊となりました。今 お奨めするとしたら、『宅建予備校』の執筆者の一人で、私が尊敬する友人でもある吉野荘平先生が執筆した『宅建最速合格教室〜合格のレシピ150〜』(東京法経学院出版)です。わかりやすさ、知識の定着のしやすさの点で、とてもよく工夫されています。吉野先生ご自身も、宅建試験と不動産鑑定士試験に独学で合格された方ですので、初学者の身の丈に合わせて執筆された良書です。毎年1月頃、改訂版が出版されているようです。


(2)過去問を解き、知識の定着を図る。

過去問集にもいろいろありますが、単元毎にまとめられているものがよいでしょう。同じ単元の似たような問題を繰り返し解くことで嫌でも覚えてしまうものです。
尚、正解肢のみではなく、選択肢の全てについて解説を読むこと、それでも理解できないものについては、基本書に返って調べることが大切です。理由付けがしっかりできてこそ、知識は定着するものだからです。
また、誤った問題については、ページに○しるしを付けておき、二回目はその問題のみ解きます。二回目も間違ったら○を◎にします。三回目は◎のみを解くことになりますが、この頃には合格点を取れるレベルに達しています。


(3)模擬試験を受験し、会場受験の雰囲気に慣れ、不得意問題を洗い出す。

2時間50問を広い会場で解くというのは、自宅では練習できません。また、模試は近年の傾向を反映してバランスよく出題されますので、効率よく不得意問題を洗い出すことができます。復習をしっかり行い、間違えるパターンを認識し、記憶の隙間を埋めておきましょう。


(4)法改正点を中心に知識を整理する。

各受験予備校で、無料説明会と称して「法改正点講義」が行われます。これを受験すると法改正点レジュメがもらえますので、それを使って最後の知識詰め込みを行います。


これだけやって落ちるわけがありません。本番では、一部、過去問&法改正点の範囲を逸脱する選択肢もありますが、それは無視して大丈夫です。必ず、この範囲の知識で正解肢を特定できる、あるいはこの範囲の理解で正解肢を類推できるようになっているのです。


(費用はこれだけ)

基 本 書『宅建予備校』(住宅新報社) 2,800円
過去問集『宅建資格試験問題集』(住宅新報社) 2,600円
模擬試験 Wセミナー 全国公開模試(2回) 10,000円
TAC 全日本答練(1回) 2,000円
LEC 公開模試完成編第4回(1回) 7,000円
総額 24,400円



(独学は楽しい)

よく「独学は毒学」などという受験予備校もありますが、それはナンセンスです。司法試験等の難関試験ではないのですから、10万円以上も講義料を払って、不合格でしたらそれこそ毒学です。上記の方法なら、出費は3万円以下で済みます。

浮いたお金で、何回飲み会に行けるでしょうか。飲み会の話が出たついでに、禁欲を強いる予備校もありますが、これもいけません。例えば、見たいドラマがあるのに、どうしてそれを我慢して集中した勉強ができるでしょう。私は毎日負けてばかりの巨人を応援していましたし、毎日のようにドラマを見て、又毎週末のように飲みに行って朝帰りしていました。

それと、ノートを作れという人もいます。ノート作りの好きな人・得意な人はやったらいいですが、合格することが目的なら不要です。ノートを作ったことで分った気になることをこそ心配すべきです。それにノートを作るまでもなく、試験申込会場の近辺で、各受験予備校がその学校特製の重要点整理ノートを配っていますし、また、各模擬試験でも嬉しいオマケとしてポイント集がもらえますので、それを活用すべきです。初めて受ける受験者と経験豊富な予備校の作成したノートとどちらが使えるかは火を見るより明らかでしょう。

以上をまとめると、次のようになります。

(1)受験予備校には通わない。
(2)禁欲生活はしない。
(3)ノート作りはしない。

ちょっとクレームがきそうですので、これは飽くまでも私の主観的な意見とご理解下さい。


(予備校行きますか?)

以上、取り留めなく、申し上げて参りましたが、何にしても自分にあった勉強法を見つけることだと思います。独学が得意なのか、講義を受けて復習することが得意なのか。独学が得意な私にとっては、ここでご説明した勉強法で、これ以上でも、これ以下でもないのですが、飽くまで私一個人の方法論ですので、ご自分用にアレンジして頂ければと思います。

尚、独学の問題点は「出題されない知識まで勉強してしまう」ことです。そういう意味では、「効率よく」を目指されるのでしたら、10万円かけて予備校に通うことをお勧めします。予備校に通うと、

(1)大金を払ったので、もったいなくて講義を休めない=強制的に勉強時間が取れる
(2)出題される論点のみ勉強できる。
(3)答案練習会にも参加すれば、定期的に範囲を区切って知識の整理ができる。

などのメリットがあります。私には10万円払うというデメリットの方が大きかった(^_^;)ので、無料公開講座と模試のみ利用したわけです。

ただ、例えばWセミナー・LEC・TACなど、大手受験予備校では毎月のように、宅建勉強法について無料公開講座を行っていますので、お問い合せの上、是非ご出席されてみてはいかがかと思いますが、講師は「過去問をやりなさい」としか言いません。それだったら独学でいけると思いませんか?

尚、独学の皆さんに限らず、不動産鑑定士川端一郎先生主宰の不動産研究メーリング・リストへのご参加をお勧めします。受験者も沢山参加しており、お互いに励まし合える上、不動産に仕事として関わる上での勉強にもなります。私も鑑定士2次受験に当たり、このMLへの参加がどれほど心の支えになったことか。是非のご参加をお待ちしております。


(短期だから合格できる)

尚、週に1回3時間勉強するより、一日30分を1週間続けた方が記憶に残ることを申し添えておきます。使い古された言葉ですが「継続はチカラなり」です。早速、今この瞬間から勉強を始めて下さい。また、「もう時間ないから来年でいいや・・・」と考えていると、今年は勿論来年も合格できません。これから数か月の勉強さえできなかった人が、これから1年数か月という長帳場に耐えられるはずがないと思いませんか。短期だからこそ集中できるのです。

(1)今すぐ始める。
(2)絶対に今年合格すると決意する。
(3)1分でいいから毎日勉強する(しないうちは寝ない)。

これだけのことを守れば自ずと合格が見えてきます。頑張って下さい。


(本番心得帳)

・試験開始前から、問題を透かし読むくらいの気合いで臨む。

・設問は、一字一句もらさず読む。

・設問の中に解答がある。設問をきっちり読まなければ解答は選べない。早合点は敵。

・不明な肢に悩まない。他の選択肢から必ず正解肢を導ける。

・わからない、知らないとパニックに陥らない。完璧な勉強をしてきた自分は、これまでの知識から必ず正解肢を類推できる。

・誤植等試験委員からの説明は、もう一つの設問、決して聞き漏らさない。

・途中退場者がいても、焦らず自分のペースを守る。彼らは必ず落ちるから、かえってライバルが減り、自分が優位になる。

・見直しは、正解として選んだ選択肢の文章をチェックしていく。

・「正しい」ものを問われているのに「誤り」を選んでいないか。

・最後の一分一秒までチェックする。

・受験票、シャープ、消しゴム、(暑い日は)サンダル、タオル

・これまで勉強してきたことの全てを出しきる。

・全力を尽くす。あのときもっと頑張ればよかったのにと後悔しない。

・家族を始め、今まで支えてくれた人達に感謝し、その人達のためにも頑張る。その人達の笑顔が見たいと痛切に感じる。

・必ず解答があり、自分はそれを知っているのだ、わかるのだと確信する。

・合否を分けるのはたった1点。1点でも多く、しつこく粘る。自分の辞書に「諦める」という文字は無い。

・もうダメだと思った、その一歩先に合格はある。

・人間の能力に限界は無い。


最後に私が実践した合格までの3か月スケジュールをご提案して、結びとさせて頂きます。ご来訪ありがとうございました。




(忙しい人の合格スケジュール)

3か月前 1日60分 基本書を1か月かけて読む。600ページとしても、1日わずか20ページの苦しみで済みます。余った時間はビールを飲みながらテレビでも見て、仕事の疲れを癒しましょう。
本試験申込時に、各受験予備校が会場近辺で配っている重要点整理ノートを頂いてくる(私の頃は、総合資格学院が「10点アップポイントサブノート」というほぼ完璧なノートを配付していたのですが、今も配っているかはわかりません)。
各受験予備校の無料説明会「法改正点講義」を受講し、レジュメを頂いてくる。
2か月前 1日90分 過去問集を1か月かけて解く。500問としても、1日わずか17問で済みます。余った時間は楽しくお過ごし下さい。
1か月前 過去問集2回目。
以降、模試を毎週1回受験。
2週間前 1日120分 過去問集3回目、模試の復習、3か月前に手に入れた「重要点整理ノート」「法改正点レジュメ」、模試でもらったポイント集で知識の穴を埋める。
1週間前 そろそろ勉強に飽きてきます。飽きてくるということは必要なことはもう覚えてしまった証拠です。気晴らしに好きな小説でも読みましょう。
本 番 気を付けることはただ一つ。早合点しないように問題をよく読むことです。